内羽根と外羽根-起源
革靴を愉しんでいると必ず出くわすといっても過言ではないのが「オックスフォード」というワードだ。内羽根のプレーンやキャップトウの靴(フォーマル)のことを総称して「オックスフォード」、外羽根の靴(カジュアル)を「ダービー」と呼ぶ。
前者は名だたる著名人を輩出した「オックスフォード大学」有し、「ケンブリッジ」と並ぶイギリスの二大大学都市の1つだ。
後者は競馬と関連があり、スポーツ=カジュアルと結びつけることが出来る。
ではなぜ「オックスフォード」なのだろうか?「ロンドン」や「ケンブリッジ」ではなく。
長きに渡ってヨーロッパではブーツやコートシューズ(パンプスのようなスリップオン)が主流であった。
途轍もなく華奢な木型のロングブーツや恐ろしい数のボタンのついたバルモラルブーツ(ボタンアップブーツ)などが未だに海外の蚤の市では出てくる。
19世紀に入りロングブーツやアンクルブーツに反抗したオックスフォード大学の学生がブーツメーカーに筒をカットさせたものが流行し、変化を繰り返しながら現在の形に落ち着いた、というのが一般的な説だ。
対し、ケンブリッジ大学の学生が「オックスフォード」に対抗して靴紐の代わりにエラスティックを配した「ケンブリッジ」というモデルを作らせた、という逸話も残っていて、何かとライバル関係にある両校ならではの、誠にイギリスらしいストーリーだ。
次回も靴のディテールに纏わるストーリーに触れたい。