ふだん、靴ブラシってどう使い分けていますか?
そもそも、靴ブラシはご使用でしょうか?
実は、靴磨きに使われるブラシには「馬毛🐎」「豚毛🐖 」「山羊毛🐐 」と、3種類あります。
ゴルフでも、1本のクラブだけで18ホールまわる人はいませんよね。靴磨きも同じで、それぞれの工程に合ったブラシを使うことが重要です。
今回は、ご自宅でお手入れされる方はもちろん、お店で磨いた靴の仕上がりを少しでも長く保ちたいという方にも役立つ、靴ブラシのお話をお届けします。
ホコリ落としの要🐎馬毛ブラシ
ホテルに常備されていることが多く、「靴ブラシ? 確か、家にあったと思います」という方がだいたいお持ちなのが、この馬毛ブラシです。
適度な硬さと張りがある馬毛ブラシは、靴全体にたまったホコリや塵を掃うのに最適です。
特に、コバや羽根の内側など汚れが溜まりやすい部分は、手首のスナップを効かせて、掻き出すようにブラッシングするのがポイントです。
また、スエード靴の毛並みを整える用途にも活躍します。毛流れに沿って、やさしく丁寧にブラッシングしてください。
なお、ブラシを選ぶ際は、こうした細かい部分に毛先が届くよう、毛足がしっかりと長く、密度のあるものを選ぶと扱いやすく、作業効率も上がります。
使用タイミング: 磨きの最初
用途: 靴全体のホコリ落とし、スエードの毛並み整え
使い方: 全体を掃くように軽く。細部はスナップを効かせて掻き出すように。
注意点:鏡面磨きを施した靴に使うと、艶が曇る場合があります。
クリーム、押し込みます🐖豚毛ブラシ
靴磨き好きの方が、一番たくさん持っているブラシ――それが豚毛ブラシです。
豚毛ブラシは靴クリームの浸透用ブラシ。磨く方にとっては欠かせない道具ですが、クリームの色ごとに使い分けが必要なため、気づけば本数が増えてしまうんです。
(たとえば黒用のブラシでライトブラウンの靴を磨くと、色が移って台無しに…)
3種類のブラシの中では最も硬く、強い弾力があり、塗布したクリームを革の奥へと押し込む工程で使います。
豚毛ブラシを選ぶ際のポイントは、まず毛の密度。
クリームをムラなく、均一に伸ばすには、毛がびっしりと詰まったタイプが使いやすいです。
また、豚毛ブラシは力強くブラッシングする必要があるため、取っ手の形状も重要。
手にフィットしない形だと、疲れやすくなったり、手から抜けてブラシが飛んでしまう…というトラブルにもつながります。
握りやすいかも、道具選びの大事な基準です。
使用タイミング: クリーム塗布後
用途: クリームの浸透と、下地としての艶出し
使い方: 皺のある部分を中心に、押し込むように力強くブラッシング。
石見豪はよく「親の仇くらい力強く」と表現します。
(写真は、プチトマトで毛の弾力を表しています)
仕上がりを左右する🐐山羊毛ブラシ
羊の毛だと勘違いされることも多いのですが、実は“やぎ”の毛。
その繊細さは、素肌に使用できるほど柔らかく、高級な化粧筆にも使われています。
靴磨きの工程では、ワックスを使った鏡面磨きの仕上げに使用します。
ワックスを塗った部分と、塗っていない部分の境目をぼかすことで、自然なグラデーションに仕上がります。
また、鏡面仕上げを施した靴のデイリーケアにも、山羊毛ブラシは最適。
履くたびに山羊毛ブラシでケアすると、輝きが1.5〜2倍長持ちすることもあります。
さらにこのブラシ、使い込むほどに良くなる、育てる楽しみのあるアイテムなんです。
クリームやワックスに含まれる油分が毛に少しずつ移り、ブラッシングするだけで自然な艶が出る道具へと成長していきます。
使用タイミング:仕上げの最後や毎日の簡単なケア
用途:自然な艶出し、鏡面磨き後の光沢キープ
使い方:靴の表面を強めにブラッシング
※色分けは必須ではありませんが、濃い色の靴に使ったブラシを明るい色に使うと仕上がりが沈むことがあります。可能であれば、濃淡で分けて使うのがおすすめです。
ずっと完売していたブラシ、ついに復活します
最後に、とても大事なことですが――
道具って、使い勝手ひとつで、いつの間にか手が伸びなくなってしまうものです。
だからこそ、“毎回つい手に取ってしまう”くらいの使いやすさは、靴磨きを無理なく続けるうえで意外と大切なポイントなんです。
そんな中、長らく欠品していた当店オリジナルのKINKOUブラシが、ようやく復活の目処が立ちました。
発売以来6年間、常に完売が続く当店の人気商品。
実は、ブラシ職人さんの高齢化もあり、一時は「もう同じ形では続けられないかも」という状況でしたが、なんとか再生産にこぎつけることができました。
今月中には、こちらで先行予約や再販のお知らせもお届けします。お楽しみに。